九月から始まったレクチャーコンサートツアー、去る22日をもって全日程無事終了することができました。
当初は15公演も出来るのか不安でしたが、皆さんの温かい力添えのおかげで、一度も寝坊することなくやり遂げることができました。
それぞれの街でそれぞれの全く違う雰囲気を持っていることが面白く、また、レクチャーしながら自分が音楽の初心の心に立ち返ることが出来る素晴らしい機会でした。
この場を借りて、今回このような機会を与えて下さった河合楽器製作所の皆様、様々な相談に乗ってくれた大岩先生、木村先生、ハイドシェック、そして家族に感謝したいと思います。
今回のレクチャーのテーマは「音楽する、人間する」だったわけですが、1番のキーポイントとして「共感性」でした。
人間は絶対に他者を完全に理解することは出来ない、何故なら「私」が「貴方」を完全に理解した瞬間それはもはや「私」ではなく、もう一人の「貴方」に過ぎない、そういう根源的な隔絶の中に我々は生きているわけで、そういう意味では、人間はたった一人の孤独に生きているという考えも成立するかも知れません。
けれども、その代わり、人間には「共感性」がある。これは人間が人間足り得る人間のアイデンティティなんだと思っているわけで、他者を理解出来なくても「共感」できる、それはつまり他者に寄り添うことができるということで。
だからこそ300年も前に書かれた白人の音楽に感動出来る。
では感動とは何か、その答えを私達は日々求めているわけですが、答えはおそらく「言葉」でなく「態度」だと思うわけで、
私がハイドシェックから学んだことは突き詰めると「音楽に対して真摯であれ」という一語に尽きると思うわけです。
そしてそれは即ち「人間として真摯であれ」ということなのかなぁと思っている2018年です。
言うのは簡単ですが、音楽に真摯であるということは、最初の一音から最後の一音まで、自分はその音符が望む音を出しているのか、お天道様に向かって自分の都合ではなく嘘偽りのない音を出していると言えるか? そう考えると日々是修行だなぁと講演しながら実感しました。
今後も不器用ではありますが、お天道様に嘘偽りない音楽を心掛けようと思います。
千田桂大
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